この記事では『スピードテスト(Speed test)』について解説していく。
スピードテストの方法・陽性所見・解釈
スピードテストの方法・陽性所見・解釈は以下の通り。
方法
- 患者は座位。検者は、患側の結節間溝部を触知しておく。
- 患者は、患側の上肢を「肘関節伸展位・前腕回外位」にて、90°前方挙上位(＝肩関節90°屈曲位)に保持する。
- 検者は、一側手で結節間溝部を触知したまま、反対手で(前方挙上している上肢に対して)肩関節伸展方向への(＝下方へ降ろすような)抵抗を加え、患者に抗してもらう(＝等尺性収縮を加える）。
声掛けは「私が(挙上した上肢に対して)抵抗を加えるので、今状態(上肢挙上位)で止めておいてください」でOK。
陽性所見
触知している結節間溝部に疼痛が誘発される。
解釈
上腕二頭筋長頭腱炎(or 上腕二頭筋長頭の病変)を疑う。
誘発された疼痛が触知した部位(結節間溝部)ではない場合、別の機能障害を考える(例えば、肩峰下インピンジメント症状を有する場合は、肩峰外側周囲に疼痛が生じる場合がある)。
- 結節間溝部は上腕二頭筋長頭腱が走行するのだが、結節間溝部は解剖学的に機械的ストレスが加わりやすい(上腕二頭筋長頭腱炎を起こしやすい)。
- 上腕二頭筋長頭は2関節筋であり、「肩関節屈曲・肘関節屈曲・前腕回外」の作用がある。
- スピードテストでは、上記作用のうち「肩関節屈曲」に対する抵抗を加えることで筋収縮を起こし、上腕二頭筋長頭腱に機械的ストレスを加えることを目的としている(結節間溝部で長頭腱に機能異常が生じていれば疼痛が誘発される)。
上腕二頭筋長頭腱炎のテスト一覧
上腕二頭筋長頭腱に対するテストは以下などがある。
上記の中でも、結節間溝圧痛テストはアッパーカットテストと組み合わせることで、感度・特異度ともに最も高くなるとされているためおススメである。
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以下は上腕二頭筋長腱炎についても言及した記事となるので、合わせて観覧すると理解が深まると思う。
⇒『【疾患まとめ】肩関節疾患』
以下の記事では、徒手整形外科的テストの一覧をまとめているので、合わせて観覧してみてほしい。