生きて行くにはエネルギーが必要だ。
ここでいう『エネルギー』とは「食物のエネルギー」とかではなく「細胞が生きていくためのエネルギー」を指すのだが、このエネルギー源となる分子が、今回のテーマである『ATP(アデノシン三リン酸)』である。
ATP(アデノシン三リン酸)が産生されるまで
ATPの効率的な産生には酸素が必要だ。
ATPはブドウ糖が分解されることによって産生されるのだが、1分子のブドウ糖から2分子のATPが産生され、ピルビン酸という物質が作られる。
酸素がない場合はここまで(そのピルビン酸から乳酸が生成される)。
ところが、酸素があって、ミトコンドリアが機能してくれると、このピルビン酸を材料に、さらに40分子近くものATPを作ることができる。
すなわち、酸素があると、エネルギー効率(燃費といってもいいですが)が20倍近くもよくなるわけだ。
解糖とは
解糖とは、グルコースが代謝される過程を言う。
激しい運動をすると、ミトコンドリアがフルに機能してピルビン酸からATPを作る。
しかし、それにも限界があって、その限界を超えると、ミトコンドリアでピルビン酸を使いきれなくなる。
そうなると、使いきれなかったピルビン酸は代謝されて、最終的に乳酸ができる。
「激しい運動をすると筋肉で乳酸が増える」というのは、このようなメカニズムによるもの。
いってみると「ATPの材料であるピルビン酸があるのに、それをミトコンドリアで使いきれなかったので、乳酸にして廃棄しているというような状況」になっていると言える。