ペインフルアークサイン(有痛弧徴候)【肩関節の検査】

整形外科 - 徒手検査法(整形外科)

この記事では『ペインフルアークサイン(painful arc sign)』について解説していく。

※ペインフルアークサインは『有痛弧徴候』とも呼ばれる。

 

ペインフルアークサインの確認方法(方法・所見・解釈)

 

ペインフルアークサインの確認方法(方法・所見・解釈)は以下の通り。

 

方法

  1. 患者は立位にて、上肢は下垂位。
  2. 患者に、自動運動にて「上肢を最大限挙上させ(肩甲骨面挙上で実施)、再び下垂位に戻すように」と指示する。

 

以下はペインフルアークサインの動画となる。

 

陽性所見

上肢挙上60°~120°の間で肩峰下に「疼痛」or「疼痛を伴う引っ掛かり感」を訴える。

 

解釈

インピンジメント症状・腱板損傷・肩峰下滑液包炎症を疑う。

肩関節外転~肩甲面挙上60°~120°の間で肩峰下滑液包が挟まる。しかし、それ以外の範囲では肩峰下滑液包・大結節および腱板などは、関節運動と共に肩峰下に滑り込むため疼痛が消失する。

 

肩峰下インピンジメントのテスト

 

肩峰下インピンジメントが疑われる場合は、以下なども併用し精査していく。

 

臨床上有用な手順

 

各テストを闇雲に併用するよりは効率よく実施したほうが有益だしダラダラと評価に使う時間を短くできる。

個人的には以下の手順で実施することで臨床推論として役立てている。

つまりは自動運動→抵抗運動 or 他動運動の順に施行していく(ドロップアームテストは必要に応じて実施)。

 

リスク管理として、「自動運動」が一番患者の恐怖感が少なく、次に実施する抵抗運動・他動運動時における加減の参考にもなるので、最初にペインフルアークサインの確認(+主訴とする動作)の確認を行う。

 

棘上筋テストは抵抗運動の挙上角度を変えることで、筋損傷 or インピンジメントのどちらの影響が強いかの推論に役立つ。

関連記事→『棘上筋テスト(エンプティカンテスト・フルカンテスト)

 

ホーキンステストニアーテストは肩鎖関節機能障害でも陽性になるため、疼痛部位の確認・試験的治療の反応も確認する。

 

関連記事

 

以下は肩関節疾患ついて言及した記事となるので、合わせて観覧すると理解が深まると思う。

⇒『【疾患まとめ】肩関節疾患

 

以下の記事では、徒手整形外科的テストの一覧をまとめているので、合わせて観覧してみてほしい。

⇒『【まとめ】徒手整形外科的テストを整理しよう

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