血液(赤血球・白血球・血小板・血漿)の特徴まとめ

専門用語解説

この記事では血液(赤血球・白血球・血小板・血漿)の特徴をまとめている。

 

ザックリとした血液の分類は以下の通り。

 

血液リンパ 血液 赤血球 骨髄で産生、無核、男性500万(女性4500万)個/1mm3、ヘモグロビン、寿命120日で脾臓で破壊
白血球 5000~9000個/1mm3
顆粒白血球 好中球 60~70%  
好酸球 2%  
好塩基球 0.5%  
無顆粒白血球 大リンパ球 20~30% 大リンパ球になったり小リンパ球になったりする。
小リンパ球
単球 6~8%  
血小板 20~45万個/1mm3、血液凝固、骨髄の巨核球の細胞質が細かくちぎれたもの。
血漿 フィブリノゲン フィブリノゲン(線維原素)⇒フィブリン(線維素)
血清 血餅からフィブリノゲンを除いたもの

 

 

目次

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赤血球

 

ヘモグロビン

ヘモグロビンは「ヘム=鉄」と「グロビン=タンパク質」からなる。

 

造血促進ホルモン

骨髄で生産され、『エリスロポリチン』というホルモンが生成を促進する。

※出血すると、様々な生理的反応が起こるが、その一つが「造血促進のために、エリスロポリチンの分泌増加」である。

 

赤血球の破壊

寿命は120日(白血球や血小板よりメチャクチャ寿命が長いのが特徴!!)

赤血球は「脾臓」で破壊される。

脾臓の細網内皮系で補足⇒溶血・食作用で破壊⇒ヘモグロビンを放出しヘムとグロビンに分解される。

分解された「グロブリン」は再利用される。

分解された「ヘム」は鉄は再利用され、ビリルビン(黄色素)排泄される(一部は体内に戻る)

 

「鉄」に関して:

鉄は、肝臓・脾臓に蓄えられる⇒骨髄へ運ばれる⇒再利用される。

 

「ビリルビン」に関して:

ビリルビンは、血漿タンパクと結合し肝臓へ⇒胆汁成分として十二指腸に分泌⇒腸内細菌の作用でウロビリノーゲンとなる⇒80%は糞便中に排泄される。

 

ヘマクトリット

全血液容積に占める赤血球容積の割合を「ヘマクトリット」と呼ぶ。

ヘマクトリットは貧血で低下し、脱水状態の時には上昇する。

 

 

白血球

 

白血球は「顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)」「単球(マクロファージ)」「リンパ球」に分けられる。

 

その中で顆粒球は白血球の50-70%を占め、寿命は2-4日と短い

 

顆粒球

好中球:

・顆粒球の大部分を占める

・細菌や異物を取り込んで分解消化する作用を持つため『貪食細胞』とも呼ばれる。

※ちなみに単球は「大食細胞」と呼ばれるので整理しておく!

 

好中球と好塩基球:

・好中球・好塩基球はいずれも白血球内に極僅かしか存在しない。

・役割も似ており、(抗体などから刺激を受けると)「細胞毒性を持つ物質」や「炎症をひき起こす物質」を放出する。

 

 

単球(マクロファージ)

 

  • 白血球の5パーセント程度を占める(個人的には「好中球の割合」が圧倒的なので、それ以外の%は覚えなくて良いと思うが念のため)。

 

  • 寿命は数か月から数年と長い(赤血球と顆粒球の寿命と比較・整理しておく)

 

  • 単球は血管から組織中に出てきてマクロファージとなる(つまり、血管内に存在している限り、マクロファージとは呼ばない)。

 

  • マクロファージとは『大食細胞』の意味で、積極的に遊走し、大きな異物を貪食して除去する。

 

  • さらに食べて取り込んだ異物の断片を抗原としてリンパ球に提示し、これによってリンパ球に抗原を認識・記憶させる働き(抗原提示)を持ち、免疫系においてきわめて重要。

 

 

リンパ球

リンパ球は、リンパ液やリンパ節に分布するイメージだけを持つかもしれないが、血液中にも含まれている(白血球に含まれる)。

 

リンパ球は、正常の白血球の30%を占める。

 

リンパ球の寿命は数日~数年と一概に言えない。

 

リンパ球は骨髄でつくられた後、『B細胞(骨髄などで分化する)』・『T細胞(胸腺で分化する)』・『NK細胞』などに分化する

 

B細胞(⇒形質細胞)

B細胞はそれぞれの特定の抗原を認識し、抗原が生体内に侵入と分裂して大量に増え、さらに形質細胞に分化して、その抗原に対する抗体を産生する。

※B細胞が分裂、分化するためには(後述する)T細胞の助けが必要

 

T細胞

B細胞と同様に、特定の抗原を認識して働く。T細胞はいくつかの異なったタイプに分類される。

ヘルパーT細胞:

ヘルパーT細胞は、サイトカインと呼ばれ烏物質を放出して、B細胞の分裂や抗体産生を助けたり、マクロファージが病原体を破壊するのを助けるという働きを持つ。

 

キラーT細胞:

キラーT細胞は自己の細胞がウイルスなどに感染した場合、それを破壊する働きを持つ。

 

 

血小板

 

血小板は止血作用を持つ。

 

寿命は5-10日。

 

脾臓で破壊される(赤血球と同じ)。

 

 

血漿

 

血漿の機能

 

血漿は以下の機能を有している。

  • 老廃物の運搬
  • 細胞が必要とするミネラルの補給
  • 体液の「浸透圧」や「緩衝作用」に関与

 

緩衝作用

血液のpHは通常7.40程度(7.35-7.45)で、わずかにアルカリ性に傾いた状態で一定に保たれている。

そして、以下の状態をそれぞれ「アルカローシス」「アシドーシス」と呼ぶ。

  • アルカローシス⇒血液のpHが正常範囲(7.35-7.45)を超えて酸性側へ傾いた状態(数値↑)
  • アシドーシス⇒血液のpHが正常範囲(7.35-7.45)よりもアルカリ側へ傾いた状態(数値↓)

重要な用語であり、以下でも深堀解説している。

⇒『アシドーシスとアルカローシスを詳細解説

 

 

血漿の成分

 

血漿の成分は「水」「電解質」「タンパク質」である。

その他、糖・脂質・:アミノ酸・老廃物なども微量に含んでいる。

 

血漿の90%が水。

水により「細胞が必要とする物質」や「細胞が不要となった老廃物」を運搬する。

 

電解質

電解質の大部分はNaとCl-

電解質は「細胞が必要とするミネラルの補給」や「体液の浸透圧や緩衝作用」などの役割を担う。

 

タンパク質

血漿中のタンパク質を『血漿タンパク』と呼び、血漿成分の7%を占める。

血漿タンパクは以下の3種類に分かれる。

  • アルブミン
  • グロブリン
  • フィブリノゲン

 

血漿タンパクの量はアルブミン>グロブリン>フィブリノゲンである。

 

ちなみにグロブリンは「α1」「α2」「β」「γ」の4種類に分かれ、γグロブリン以外は肝臓で合成される。

 

γグロブリンだけは肝臓で合成されず、白血球の形質細胞で合成される。

γグロブリンは抗体として免疫細胞に関与するため『免疫グロブリン』とよばれ「教科書の免疫系」でも強調された登場をするので覚えておくように!

 

血漿タンパクの役割

 

血漿タンパクの役割は以下の通り。

 

  • アミノ酸供給源(アルブミンの関与が大きい)
  • 「膠漆浸透圧の維持」と「血管内の水分保持」(アルブミンの関与が大きい)
  • ホルモン・ビタミンなどを運搬(α・βグロブリンの関与が大きい)
  • 血液の酸塩基平衡に寄与。
  • γグロブリンは抗体といて免疫反応に関与(前述した通り)
  • フィブリノゲンは血液凝固に関与

 

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