この記事では、上皮組織(扁平上皮・立方上皮・円柱上皮・線毛上皮・移行上皮)について解説している。
※同義語の多い「線毛上皮」の別名(多列線毛円柱上皮・多列円柱上皮)も含めて整理している。
上皮組織の分類
上皮組織の分類としては以下になる。
扁平上皮 | 単層扁平上皮 |
内皮、リンパ管、腹膜、胸膜、心膜、腎臓のヘレンのワナなど ※血管の内側を「内皮」と呼ぶ |
重層扁平上皮 |
表皮、口腔、咽頭、食道、膣など ※層になっているのが特徴 |
|
立方上皮 | 単層立方上皮 |
尿細管、甲状腺の濾胞上皮など |
円柱上皮 | 単層円柱上皮 | 消化管(胃、小腸、大腸)など |
重層円柱上皮 | 尿道など | |
線毛上皮 | 多列線毛上皮 | 鼻腔、喉頭の一部、気道、気管支など |
単層円柱線毛上皮 | 卵管など | |
移行上皮 |
膀胱、尿管、腎孟、腎杯、尿道(の一部)など ※引き延ばされると整列するのが特徴 |
赤文字は間違いやすいので注意。例えば移行上皮は「排尿関連」として統一して覚えやすいが、尿道の組織を問われた場合、円柱上皮も正解になるので注意(移行上皮・円柱上皮のどちらでも正解)。
また、尿管・尿細管では分類が異なる点も間違いやすい(尿管=移行上皮、尿細管=単層立方上皮)
「線毛上皮=多列線毛上皮」と同義語として扱われる場合もあるが、厳密には単層円柱絨毛上皮(卵管など)もあるので注意(この記事では上記の一覧表のみ区分して記載している)。
また国家試験では、線毛上皮(多列線毛上皮)の同義語として多列線毛円柱上皮(例えば柔整2020年国試問題)や多列円柱上皮という用語が使われている場合もあるので注意。
関連記事
以下の動画2分くらいまでが上皮組織について解説している。
各上皮細胞の特徴
各上皮細胞の特徴は以下の通り。
特徴を理解することで、何となく所在組織も合わせて覚えることが出来るようになる。
所在組織 | 特徴 | |
単層扁平上皮 | 胸膜・腹膜・血管内皮・肺胞など | 薄いので物質の交換などに向く。 |
単層立方上皮 | 甲状腺の濾胞上皮など | 甲状腺の濾胞細胞など。 |
単層円柱上皮 | 消化器系(胃・小腸・大腸)・卵管・子宮など | 吸収と分泌を行う場所に向く。 |
重層扁平上皮 | 皮膚・口腔~食道・肛門・膣など | 摩擦など機械的刺激に強い。 |
多列線毛上皮 | 鼻腔~気管・気管支(気道) | 表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる。 |
移行上皮 | 腎杯・腎盂~尿管から膀胱(尿路) | 伸び縮みすることができる。 |
各器官における上皮組織の分類
以下は、上皮組織を「消化器系」「呼吸器系」「泌尿器系」「女性生殖器系」「循環器系(内皮)」「皮膚(外皮)」「漿膜(中皮)」の順に分類したイラストとなる。
関連記事