この記事では、「DNAの転写と翻訳」について解説している。
メッセンジャーRNAとトランスファーRNAについても解説しているため、違いが分からない人は情報を整理してみてほしい。
DNAの複製について
1つの細胞が2つに分裂する際は、DNAを複製してまったく同じものを2組作る必要
がある。
DNAはねじれた縄梯子のような二重らせん構造となっている。
そして、各縄の上に並んだ4つの塩基がお互いに結合することで、梯子の段が形成されている。
それぞれの塩基は、アデニン(A)はチミン(T)のみ、グアニン(G)はシトシン(C)のみという決まった相手としか結合しない。
DNAの複製を作るときは、2本を2つの1本鎖に分け、それぞれのDNAの塩基に対して、カードを合わせるように順番に塩基を並べて組み合わせる。
こうして、確実に同じものが2本作られる。
DNAの転写と翻訳
細胞では、DNAに書かれた設計図を読み取って、タンパク質が作られている。
DNAは核内にあるが、タンパク質が作られる場所は細胞質だ。
そして、タンパク質の合成にはDNAとRNA、リボソームと粗面小胞体が関わっている。
タンパク質が合成される機序は以下の通り。
- 核の中でDNAの鎖がほどける。
- 転写が起こる。
- mRNAが核を出て、粗面小胞体に付着するリボソームにつく。
- 翻訳が起こる。
ここから先は、上記の転写と翻訳について記載していく。
①転写について
まず、DNAの設計図がRNA(リボ核酸)に写し取られる。
RNAも当然、4つの塩基が直線的に配列している(ただし、RNAではチミン(T)の代わりに、ウラシル(U)という塩基が使われる)。
DNA(デオキシリボ酸):
アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)で構成。
2本のDNAが向かい合って二重らせん構造をつくる。
RNA:
アデニン(A)・ウラシル(U)・グアニン(G)・シトシン(C)で構成。
DNAはたくさんの設計図を含む長い構造だが、RNAは通常、1つのタンパク質の設計図部分だけを写し取る短い1本鎖である。
DNAの設計図には、タンパク質情報の「始まり」と「終わり」を示すコドン(塩基配列)もちゃんと入っていて、メッセンジャーとなるRNA(メッセンジャーRNA:mRNA)は、この間の塩基配列をコピー(転写)する。
転写とは:
核の中でmRNAがDNAのネガをとること。
翻訳について
設計図を読み取ったmRNAは、次に核から以下へ移動する。
↓
リボソームには、コドンで規定されたアミノ酸を荷台に積んだRNA(トランスファーRNA:tRNA)が待ち構えている。
そして「mRNAが写し取った設計図とマッチするアミノ酸」をtRNAがカード合わせのように手を結んで、アミノ酸が連続してつながっていく(翻訳)。
こうして目的のタンパク質が作られるわけだ。
補足:タンパク質合成の順番
補足としてタンパク質合成の順番について記載しておく。
※転写と翻訳の順番をイメージしやすくなるため、合わせて参考にしてみてほしい。
- 核内でDNAの二重らせん(二本鎖)の一部がほどけ一本鎖となる
↓
- その塩基配列を写し取ったmRNAが合成される(転写)
↓
- 核膜孔より出て粗面小胞体上にあるリボゾームと結合する
↓
- 遺伝子情報のアミノ酸配列通りにtRNAが細胞質内から必要なアミノ酸をリボゾームに運搬する
↓
- アミノ酸を結合しタンパク質が合成される(翻訳)