【病理学】塞栓と血栓(+違い)

専門用語解説

この記事では、血栓塞栓について記載している。

 

この記事を読むことで、各々の違いも理解できると思う。

 

血栓とは

 

  • 血栓とは流血中にできる血の塊をいう。血管に傷がつけば、血栓がこれを塞ぐ。

 

  • 血栓はフィブリンの網目と血小板の塊で、血液の中を流れている赤血球や白血球が網目に引っかかって大きくなる(新鮮血栓)。

 

  • 血栓によって血流がせき止められると、流れの末梢の淀んだ領域では、血栓の上(先)に新しい血栓が付着し、次第に伸びて(成長して)いく。

 

  • 血栓は血球の死骸を含んでおり、でき上がった後は身体にとって異物となる。したがって、ほかの異物に対する反応と同じことが起こる。すなわち、マクロファージが貪食し、肉芽組織が増生して、生きた身体の成分に置き換えていく。このように、血栓に限らず身体にとって異物となったものを肉芽組織(最終的には線維組織)に温き換えてしまうことを器質化といい、血栓も時間が経つと器質化する(血栓の器質化したものを「器質化血栓」と呼ぶ)。

 

  • 血栓は肉芽に置き換えられ、線維組織になるに従って体積が縮小する。そして、肉芽中の毛細血管や、血栓と血管の間に残った毛細血管の内腔面積が広がっていく。この毛細血管同士が血栓の手前と先でつながれば、閉塞していた血管は再び開通(再疎通)する。

 

 

塞栓

 

  • 塞栓(物)とは、血液中を流れる溶けない物質の塊をいう。

 

  • 血栓の一部がちぎれたものは塞栓(物)となるし、DICのように血管壁にくっついていない血栓がドンドン作られて塞栓(物)となることもある。

 

  • 血栓のほか、窒素(潜函病)、脂肪(多発外傷)、細菌や真菌(菌血症)、腫瘍(血行性転移)など、血液中に入る溶けない物質は、すべて塞栓(物)になりうる。

 

  • 塞栓(物)は、流れて血管が細くなったところで詰る。静脈にできた塞栓(物)は原則としてすべて肺に行く。動脈にできた塞栓(物)は、その末梢に詰る。塞栓(物)が詰った状態を塞栓症という。

 

  • つまった先に、ほかの血管から血液の供給がない(バイパス路がない)場合には、その先の組織は梗塞になる。

 

  • 血栓が塞栓(物)となった場合は、その後、血栓と同じように器質化が起こる。

 

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