この記事では、心臓の構造と働きについて記載している。
心筋の特性
心筋
固有心筋
・収縮に適している。心筋の大部分。
特殊心筋
・興奮の発生と伝導に適している⇒刺激伝導系
・横紋筋であるが不随意運動・単収縮
自動能
自動的・律動的に収縮する。
※心臓を摘出しても、一定時間拍動する。
機能的合胞体
ギャップ結合(非絶縁伝導)により、多数の細胞からなる心房・心室がおのおの1つの細胞の様に機能する。
スターリングの法則
心筋は伸展されるほど多いな張力を派生する。
静脈還流量が多いほど拍出量は増加する。
自律神経支配
交感神経と副交感神経(迷走神経)による二重支配。
刺激伝導系
洞房結節で発生した興奮は以下の順で房室全体に伝わる。
洞房結節
↓
房室結節
↓
ヒス束
↓
右脚・左脚
↓
プルキンエ線維
- 左心室圧が最も低い(左心房圧により低くなる)のは「充満期」
- 左心室圧が最も高い(大動脈圧を超える )のは「駆出期」
心機能の調節
まずは等容性収縮期・駆出期・等容性拡張期・充満期について大まかに以下のように覚える。
等容性収縮期
房室弁が閉じ大動脈弁および肺動脈弁が閉鎖されたまま、心室の容積が変化しない時期。
駆出期
大動脈弁および肺動脈弁が開き、血液が動脈に駆出される時期。
等容性弛緩期
房室弁が閉じたままである時期。心室の容積は不変である。
充満期
心室が弛緩し、心室内圧が心房内圧より低下すると房室弁が開き、血液が心室に流入して充満する時期である。
もう少し厳密に、一覧で整理する場合は以下を参照。
心周期 | 心周期は約0.8秒(心拍数75回/分の場合) | ||||
収縮期 (0.3秒) |
等容性収縮期 | 心室の収縮が始まって動脈弁が開くまで | |||
駆出期 | 動脈弁が開く閉鎖するまで、血液駆出 | ||||
拡張期 (0.5秒) |
等容性拡張期 | 動脈弁が閉じて房室弁が開くまで | |||
充満期(流入期) | 房室弁が開き心房の収縮開始まで、血液流入 | ||||
心室容量 | 心室内圧 | 房室弁 | 動脈弁 | 心音 | |
等容性収縮期 | 一定 | 上昇 | 閉鎖 | 閉鎖 | 第1音 |
駆出期 | 減る | 上昇⇒(最大圧)⇒下降 | 閉鎖 | 開く | |
等容性拡張期 | 一定 | 下降 | 閉鎖 | 閉鎖 | 第2音 |
充満期 | 増える | 下降⇒上昇 | 開く | 閉鎖 | 第3音 |
心音 | 第1音 |
収縮期の開始時、房室弁(僧房弁と三尖弁)が閉じた音 (ドッ) |
|||
第2音 |
弛緩期の開始時、動脈弁(動脈弁と肺動脈弁)が閉じた音 (キン) |
||||
第3音 | 心房から心室へ流入する血液の音、通常は聞こえない |
心電図
- P波⇒心房興奮
- QRS波⇒心室興奮開始
- T波⇒心室興奮消退
- PQ間隔⇒心房間興奮伝導時間
「心拍数」と「心拍出量」
- 成人の(安静時)平均心拍数70/分
- 1回拍出量は70-80mℓ
- 毎分心拍出量=1回拍出量×心拍数(=70回/分×70mℓ)・安静時は約5ℓ
ガス交換とガス運搬
ガス交換 | 動脈血と組織・肺胞気と肺毛細血管の静脈血のガス分圧差(拡散)で行われる。 |
O2分圧 |
HbとO2の結合はO2分圧・CO2分圧に左右される。 O2分圧が高いほど酸素化ヘモグロビンの割合が増える。 CO2分圧が高いほどHbの酸素結合能力は減少。 |
O2運搬 |
Hbと可逆的に結合。 肺胞気100mm・動脈血Hg95mmHg・静脈血40mmHg |
CO2運搬 |
約80%→重炭酸イオン(HCO3-)。 約10%がHbと結合。約10%物理的に溶解。 肺胞気40mmHg・動脈血40mmHg・静脈血46mmHg |
塩酸基平衡 |
CO2蓄積→H+増加→呼吸性アシドーシス。 CO2減少→H+減少→呼吸性アルカローシス。 |