潜在感染・日和見感染・菌交代症とは何か?を解説している。
それぞれの違いがピンとこない人は参考にしてみてほしい。
感染とは? 症状起こらず治癒することも
ヒトに何らかに感染した場合、以下のいずれかに分類することが多い。
症状が起こる ⇒顕性感染
症状が起こらず治癒してしまう⇒不顕性感染
それでは、本題である以下について記載していく。
- 潜在感染(潜伏感染)
- 日和見感染
- 菌交代症
潜在感染
潜在感染(=潜伏感染)とは「病原体が体内に居続けて、病状が悪くなった時に起こる感染」である。
潜在感染を起こすモノとしては以下などが挙げられる。
- ヘルペスウィルス
- 水痘・帯状疱疹ウイルス
例えばヘルペスウイルスは、三叉神経節に生息し、体力低下時に口角などに水疱を形成する。
例えば水痘・帯状疱疹ウイルスは、若い時に感染しても症状が出現しないがい、免疫力が落ちた際に帯状疱疹症状(肋間神経痛など)として症状が浮き彫りになる(若い時であっても免疫力が低く発症する場合があり、その場合は「水痘症」と呼ばれる)。
日和見感染症とは
日和見感染症とは「免疫能などの感染防御能が低下したために起こる、本来は感染力の低いモノ(真菌などの微生物)による感染症」を指す。
免疫能が低下する要因としては以下などが挙げられる。
- 癌
- 糖尿病
日和見感染を起こす代表的な病原体としては以下などが挙げられる。
- セラチア菌
- 緑膿菌
- 腸球菌
- カンジタ
- アスペルギウス
※通常体内に生息する常在菌であっても易感染性宿主にとっては病原体となりうる。
潜在性感染と日和見感染は違う:
潜在性感染は「感染しているが(病原体が体内に居続けて)すぐには発症せず、免疫が落ちた際に発症する感染」を指す。
一方で日和見感染は(免疫が落ちて)「本来であれば病原性を示さない弱毒病原体によって引き起こされる感染」を指す。
菌交代症とは
菌交代症とは「感染症に対する大量の抗菌薬が投与された結果、投与された抗菌薬に感受性のない常在菌などが増殖して新たな感染症を引き起こすもの」である。
抗菌薬によりクロストリジウム・ディフィシルが大量に増殖し、その毒性が原因となって偽膜性腸炎(症状としては下痢)が起こったりする。
関連記事
感染症に関しては「病理学の外因③感染症」の記事で全体像が学べるので合わせて観覧してみてほしい。