この記事では腹膜後器官を記載している。
「腹膜後器官であるかどうか」は国家試験で度々問われているため、この記事で整理しておいてほしい。
腹膜とは + 間膜を有した臓器
腹膜とは「腹腔内臓器の一部を覆う2層性の漿膜」である。
腹部臓器の一部は、「腹膜によって作られる間膜」を持つため、腹腔内を移動できる。
間膜を有した臓器としては以下などが挙げられる。
- 胃(小網と大網を有している)
- 回腸・空腸(腸間膜を有している)
- 横行結腸・S状結腸
- 肝臓(小網を有している)
- 脾臓( ⇔膵臓は後腹膜器官なため混乱しないように)
- 子宮・卵巣(子宮広間膜を有している)
【補足】腹膜垂と大網
腹膜垂について
国家試験では、「腹膜垂がみられる器官はどれか」を問われる場合がある。
答えは大腸の結腸である。
※直腸は×
大網について
大綱は「前腹壁の後方にエプロン状に垂れ下がる腹膜」である。
胃の大弯から始まって後胃間膜を作って、前腹壁の後方に大きく垂れ下がる。
その後、後方に折り返して上方に向かい横行結腸に付着する。
※大網は、エプロンのように垂れ下がっている。
ちなみに網嚢は「大網と小網によって形成される腹部の空間」を指す。
腹膜後器官とは
腹膜後器官(=腹膜後臓器)は「腹膜の後方に存在する器官」であり、後腹壁に固定されるため可動性に乏しい。
腹膜後器官の代表例としては以下などが挙げられる。
- 膵臓( ⇔脾臓は腹膜内臓器)
- 腎臓・副腎
- 十二指腸( ⇔空腸・回腸は腹膜内臓器)
- 上行結腸・下行結腸( ⇔横行結腸・S状結腸は腹膜内臓器)
腹膜内臓器と腹膜後臓器の一覧表
腹膜内臓器と腹膜後臓器を一覧表にしたのが以下となる。
腹膜内臓器 | 胃・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸・肝臓・脾臓・子宮・卵巣 |
腹膜後臓器 |
十二指腸・上行結腸・下行結腸・膵臓・腎臓・副腎・前立腺 |
※膀胱は半腹膜内器官
※もう少し詳細に分類している文献、あるいは後腹膜器官を半腹膜内器官に細分類しているものもあるが、この記事ではシンプルに最低限の内容のみ記載。
腹膜後臓器に関する過去問一覧
以下は鍼灸あん摩マッサージ指圧の国家試験で出題された「腹膜後器官」関連の過去問である(腹膜垂に関する設問も含まれる)。
- 腹膜後臓器はどれか(30回)
- 小腸について正しいのはどれか(鍼灸29回)
- 腹膜後臓器はどれか(鍼灸25回)
- 小腸について正しいのはどれか(鍼灸24回)
- 小腸について誤っている記述はどれか(鍼灸13回)
- 大腸にみられるのはどれか(14回)
- 膀胱について正しいのはどれか(25回)←イレギュラー問題
- 膀胱について誤っている記述はどれか(14回)←イレギュラー問題
- 副腎について正しい記述はどれか(20回)
- 消化管で腹膜垂がみられるのはどれか(19回)
- 子宮について正しいのはどれか(鍼灸25回)
- 膵臓について誤っている記述はどれか(鍼灸15回)
- 膵臓について正しい記述はどれか(13回)
- 腎臓について誤っている記述はどれか(鍼灸13回)
- 前立腺について誤っている記述はどれか(鍼灸13回)←イレギュラー問題
- 十二指腸について誤っているのはどれか(鍼灸10回)
- 副腎について正しいのはどれか(25回)+αで役立つ問題
- 大網について正しいのはどれか(23回)
- 十二指腸について正しい記述はどれか(18回)
- 腎臓について誤っている記述はどれか(17回)
- 子宮について正しい記述はどれか(15回)
- 消化管について誤っている記述はどれか(11回)