腎臓の濾過・分泌・再吸収

専門用語解説

この記事では、腎臓における「濾過・分泌・再吸収」についてイラストも交えつつ解説する。

 

目次

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濾過・分泌・再吸収とは

 

濾過・分泌・再吸収は以下の通り。

①濾過

糸球体からボーマン嚢へ「水・Na・Cl-・HCO3-・水素・グルコース・アミノ酸・クレアチニン」などの小さい分子成分が毛細血管壁を濾過されてボーマン嚢に入る。

ポイント1:

赤血球・白血球・血漿蛋白などの大きな粒子は濾過されない。

ポイント2:

有効ろ過量は「糸球体血圧-血漿膠質浸透圧ーボーマン嚢血圧」である。

 

再吸収

一度濾過されたものは、全て排泄されるわけではなく、尿細管・集合管で再吸収されるものもある。

再吸収される例は以下の通り。

  • 近位尿細管:水99%再吸収・グルコース100%再吸収
  • 集合管:Na再吸収

 

分泌

尿細管は、ある特定の物質を尿細管腔中に分泌して尿中に排出する働きを持つ。

分泌される物質としては「アンモニア・H・K・パラアミノ馬尿酸」が挙げられる。

 

「濾過+再吸収」「濾過のみ」「濾過+分泌」を考える。

 

前述したように、腎臓では「濾過・再吸収・分泌」が行われている。

そんな中で、「濾過+再吸収」「濾過のみ」「濾過+分泌」の代表例を記載していく。

 

  • 濾過+再吸収」の代表例はグルコースである。グルコースは前述したように「濾過された後、100%が再吸収される物質」である。

 

  • 濾過のみ(=分泌も再吸収も無し)」の物質はクレアチニンである。クレアチニンは、この特性上、糸球体濾過量(GFR)の指標として用いられる。

 

  • 濾過+分泌(再吸収は無し)」の物質はパラアミノ馬尿酸である。パラアミノ馬尿酸は、その特性上、腎血漿流量(RPF)の指標として用いられる。

 

上記をイラスト化したものが以下になる。

 

補足:クレアチニンについて

 

クレアチニンは筋の中にある「クレアチン」の代謝物で、糸球体でろ過のみ行われて、尿ほとんど再吸収も分泌もされない。そのため「糸球体ろ過量の指標」として用いられる。

 

計算式は以下の通り。

有効ろ過量=糸球体血圧-血漿膠質浸透圧ーボーマン嚢血圧
 

関連する過去問

 

関連する過去問としては、以下などが挙げられる。

⇒『腎臓でグルコースの再吸収が最も多く起こる部位はどれか(32回)

⇒『糸球体ろ過量を増加させるのはどれか(31回)

⇒『腎糸球体でろ過されるのはどれか(28回)

⇒『糸球体における有効ろ過圧の計算式で正しいのはどれか(24回)

⇒『腎臓に流入した血液がろ過される部位はどれか(27回)

⇒『尿量が減少する要因はどれか(16回)

⇒『有効ろ過圧を決定する血漿成分はどれか(23回)

⇒『糸球体で、ろ過のみが行われ尿細管でほとんど再吸収も分泌もされない物質はどれか(20回)

⇒『腎臓でブドウ糖が再吸収される部位はどれか(14回)

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