この記事では性感染症について解説している。
色々な性感染症
性感染症(STD:Sexually Transmitted Disease)
・B型肝炎
・アメーバ赤痢
・後天性免疫不全症候群(HIV)
・梅毒
・性器クラミジア
・性器ヘルペスウィルス感染症
・尖圭コジローマ(低リスク型ヒトパピローマウィルス:高リスク型は子宮頸がんの原因)
・淋菌感染症
※赤は菌・青はウィルス
※アメーバ赤痢は原虫(赤痢菌とは異なるので注意)
菌の治療としてはペニシリンが有効なケースが多い。
ウィルス感染では「空気感染するウィルス」が一番強い感染力を持っている
ウィルス感染に関しては、空気感染・飛沫感染・接触感染などが感染経路として存在するが、この中では「空気感染」が一番感染力が強いということになる(空気を介してでも感染してしまうほどに協力)。
従って、例えば肝炎を考えた場合以下の順で感染しやすいと言える。
梅毒
梅毒は、梅毒トレポネーマ(スピロヘータの一種)に感染することで発症。
第5種感染症。
症状と経過
第1期(感染後3週間まで)
3週間:初期硬結⇒丘疹⇒潰瘍(硬性下疳)・リンパ節腫脹⇒数週間で消失
第2期(~3年)
血中で増殖⇒発熱⇒全身倦怠感・関節痛・全身リンパ節腫脹⇒発疹(丘疹・バラ疹・扁平コジローム、乾癬)・脱毛
第3期(~10年)
結節性梅毒・ゴム腫・粘膜疹
第4期(10年以降)
心血管梅毒・神経毒
診断
症状・血清学的検査・トレポネーマの検出
治療
(早期発見して)ペニシリン系の十分量投与
※中途半端に投与して、症状改善したらやめるのではなく、十分投与することで完全死滅させることが大切
淋病
淋病は、淋菌による急性性感染症。
感染症状(1~4日)
男女で症状異なり以下の通り。
- 男性:尿道不快感・排尿痛・膿性尿道分泌液⇒頻尿・尿意切迫感・尿道口腫脹
- 女性:症状軽い(不顕性感染・保菌者となる)・膿性膣分泌物←尿道波及すれば排尿痛・頻尿
※女性は症状軽いので気づきにくい
診断
分泌物より淋菌分離、抗原検出、遺伝子診断
治療
抗菌薬(ペニシリン、耐性菌多い、セファム系、ニューキノロン系)
予後
治療早期
慢性⇒尿道狭窄、卵管狭窄
性器クラミジア感染症
性器クラミジアは、クラミジア・トラコマチス(STD)に感染することで発症
※肺炎クラミジアとは別の菌なため(違いを示すため)「性器」という用語を付け足している(肺炎クラミジアは飛沫感染する)。
感染症状(1~2週)
男女で症状異なり以下の通り。
- 男性:頻尿・排尿痛・漿性尿道分泌液⇒ときに精巣上体炎
- 女性:頸管炎・卵管炎・骨盤腹膜炎⇒尿道に波及すれば排尿痛・頻尿
診断
感染上皮細胞より菌の分離、抗原検出、遺伝子診断
治療
抗菌薬(テトラサイクリン系・マウロライド系)
予後
適切な治療で完治
性交以外の感染経路
(性器クラミジア)クラミジア・トラコマチスの感染経路は(性交以外では)以下などが挙げられる。
- 結膜炎⇒接触感染(間接的な場合あり)⇒性交以外で、例えばタオルで感染もあり得る
- 新生児⇒母体感染(肺炎例あり)=自分以外の問題で生じる
※ちなみに前述したように、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニア)は飛沫感染を起こす。
エイズ・後天性免疫不全症候群
エイズ(後天性免疫不全症候群)は、HIVに感染することで発症。
エイズは、1981年に最初の報告がなされた。
エイズのポイントは以下の通り。
- 血液製剤で血友病患者に発症し社会問題となった。
- HIV感染後、エイズ発症までに無症症候期が存在する。
- HIV感染により免疫力が低下し、日和見感染症が重篤となる。
- 性行為で感染する。
感染機序
HIVはCD4陽性Tリンパ球に感染し、破壊する。
↓
これにより免疫不全⇒日和見感染(ニューモシチス)・悪性腫瘍(悪性リンパ腫、カポジ肉腫等)。
CD4とは
CD4とは、正式にはCD4陽性リンパ球数と言い、病気とたたかう免疫のために働いている白血球の仲間である。CD4数が減ると免疫が下がり、抵抗力が落ちる。
CD4数は一般的に血液1ml中700~1500個と個体差が大きいのだが、200~350個となった時点で抗HIV薬を使う。
CD4数が200を切ると、合併症を起こしやすくなるため、ウィルスを抑えて免疫を維持することが重要となる。
感染急性期(2~4週後)
発熱・咽頭炎・リンパ節腫脹・関節痛・筋肉痛・皮疹⇒数週間で消失⇒無症侯期⇒エイズ発症期