外因② 化学的要因 | 病理学

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この記事では、病気の「外因」について、化学的要因にフォーカスして解説していく。

 

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酸の特徴は以下になる。

 

タンパクの凝固作用がある

 

例えば牛乳(タンパクを含む)に酸を入れたら固まる(牛乳に黒酢を混ぜてみると分かりやすい)。

 

従って、人体が酸を浴びた際、一番表層の蛋白が凝固し、皮膚がただれる(浅くとどまる)。

 

ちなみに、(後述する)アルカリはタンパクを溶かす。

 

酸は、日用品としては塩酸が有名。

これでトイレの掃除をすると、黄ばみ・尿石、水アカといったアルカリ性の汚れを溶かして洗浄することが出来る。

 

アルカリ

 

アルカリの特徴は以下になる。

 

タンパクの溶解作用がある

 

従って、人体が酸を浴びた際、表層のタンパクが溶解され、深部まで侵される。

 

日用品としては「塩素系ブリーチハイター次亜塩素酸)」が有名で、強いアルカリ。

 

次亜塩素酸が手についたらヌルヌルするが、これは「皮膚を溶かして奥へ入っていっている」から生じるのだ。

 

なので、必ず手袋をして利用しよう!

 

金属

 

 

貧血・末梢神経障害・胃腸障害

貧血はヘモグロビン合成を阻害してしまう。

鉛は以前、おしろい・鉛筆・ガソリンに使用されていた。

 

カドミウム

 

イタイイタイ病(骨にカドミウムが吸着して痛い)。

「角に当たって痛い」と覚える
 

水銀

 

ここで言う水銀とは「有機水銀」のこと。

有機水銀と無機水銀があり、水銀体温計は無機水銀(体温計が割れたらコロコロと水銀が転がる)に該当する。無機水銀は仮に摂取してしまったとしても、排泄され可能性がある一方、有機水銀(例えば水銀を含んでいる魚など)は体内に蓄積される可能性があり、神経障害が起こる場合がある。

水俣病が生じる。

 

 

クロム

 

鼻中隔穿孔が生じる。

クロムはメッキに使う。

イオン化したクロム(6面クロム)が問題。

 

 

 

へモジデローシスヘモクロマトーシスが生じる。

これらは「鉄を含んだヘモジテリンが沈着すること」で生じ、各々は以下の通り。

  • へモジデローシスマクロファージなどの食細胞に沈着
  • ヘモクロマトーシス:肝・膵に沈着⇒肝炎膵炎になる。

鉄は体内閉鎖系(積極的に排泄されず使い切るモノ)に該当する。

排泄されるとすれば、電子伝達系として上皮細胞(皮膚の垢・消化管の表面から剥がれ落ちる)となる、あるいは生理出血などが該当する。

ちなみに、消化管からの吸収はわずかなため、ガンガン吸収されるわけではない。

吸収して使わず余った鉄は、肝(レバー)に溜まる。

 

 

亜鉛

 

亜鉛は、たんぱく質やホルモンの合成、細胞の生成などに関わっている。

欠乏が問題により、味覚障害・創傷治癒遅延が生じる。

創傷遅延はビタミンCと同じ:

肉芽組織ができるときに、つまり蛋白質合成が起こるときに大量にビタミン C と亜鉛が消費される。ビタミン C と亜鉛がこの時期に欠乏しないような配慮が必要。

 

亜鉛の吸収率を高めるもの:

亜鉛の吸収率を高めるものは、肉・魚介類などの動物性たんぱく質やビタミンC、クエン酸である。ビタミンCは、クエン酸のキレート作用(ミネラルを包みこんで吸収を高める)を強める働きがあるため、梅干しやレモンのように両方を同時に摂取すると、亜鉛の吸収率を高める。

 

亜鉛の吸収率を下げるもの:

カルシウム、フィチン酸、多すぎる食物繊維、リン酸などです。フィチン酸は、鉄やカルシウムなどミネラルと結合し、体内への吸収を阻害するものとされている。また、加工食品に多く含まれるリン酸も亜鉛の吸収を妨げます。

マルチビタミンにはカルシウムと亜鉛が入っているが、これらは各々でケンカして吸収率に影響を及ぼしている可能性がある。

 

 

銅は、血中でセルロプラスミンと結合し運搬される。

トランスフェリン=鉄を血中で運搬するもの。

フェリチン   =肝・マクロファージにて鉄を貯蔵するもの。

 

銅の運搬障害により、銅が体内に沈着する疾患をウィルソン病と呼ぶ。

ウィルソン病とは:

ウィルソン病では、肝臓中に取り込まれた銅が血中でセルロプラスミンと結合できず、胆汁中へ銅が排泄されず、肝臓に貯まっていく。そして、肝臓からあふれて血液中へ流れ出た銅が、脳・角膜・腎臓などへ蓄積する病態を指す。 

銅の組織沈着により肝機能障害、様々な神経症状、精神症状、腎障害等全身の臓器障害を来しうる。

 

有機物

 

「有機物」は自然界に存在しないものである。

 

ベンゼン

 

ベンゼンは油を良く溶かすので有名。例えば半導体をベンゼンでジャブジャブと洗ったりする。揮発性なので、これを作る工場では(揮発した)ベンゼンを吸わないよう予防が必要)。

ベンゼンは、白血病発症リスクがある。

 

シアン(青酸)

 

シアンにより、細胞内呼吸障害(ミトコンドリアの中の電子伝達系が障害される)が生じる。

 

有機リン

 

有機リンにより、神経伝達障害が生じる。

殺虫剤をイメージ。有機リンで羽虫が(麻痺して)飛べなくなって落っこちる。

その他、特徴は以下の通り。

  • 血液検査ではコリンエステラーゼ低値
  • 縮瞳(目の前が暗くなる)

 

塩素

 

呼吸器損傷粘膜損傷

※吸うとただれる。

毒ガスとして利用されることも。

 

ヒ素

 

胃腸障害・神経障害・循環障害

 

アスベスト(石綿)

 

肺癌中皮腫

アスベストは青色で針状になっており、これが呼吸時に肺胞にまで達する。

 

硫化水素

 

細胞内呼吸障害(シンクロムCオキシターゼ障害)が生じる。

シンクロムCオキシターゼは電子伝達系に関与しており、硫化水素は、これを阻害してしまう。

 

けい素

 

けい肺が生じる。

 

一酸化炭素

 

酸欠が生じる(O2より強くヘモグロビンと結合するから)。

 

 

薬物

 

キノホルム(抗アメーバ薬)

 

スモン病(神経障害・胃腸障害)が生じる。

汚れ井戸にアメーバ入っていてお腹を壊すなどが昔はあった。その際に、キノホルムが治療薬となっていたが、副作用としスモン病が発症した。

 

ストレプトマイシン(抗結核薬)

 

副作用として、難聴腎障害が生じる。

結核治療薬として発見当初は喜ばれたが副作用が必ずといって良いほど生じると言われている。

 

フェナセチン

 

副作用として腎障害が生じる。

解熱鎮痛薬として昔は多様されたが副作用がある。

 

サリドマイド

 

つわりを抑えるための薬だったが、母体が服用することで、子供にアザラシ肢病という副作用が生じる可能性がある。

ただし、高齢者の多発性骨髄腫の治療として効果があり、(出産するわけではないので)副作用も危惧する必要ないため、使用されている。

 

 

クロラムフェニコール

 

抗菌薬として有名だったが、再生不良性貧血が副作用。

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