この記事では、病気の「外因」について、栄養障害と物理的要因にフォーカスして解説していく。
栄養障害
Na
高値⇒高張性脱水(濃度が濃すぎる)
低値⇒低張性脱水(濃度が薄すぎる)
K(正常値は3-5mEg/l)
高値⇒不正役(T波増高)、心停止
低値⇒不整脈・筋脱力
血液中の「カリウム」濃度が高値になると、まず心電図のT波が先鋭化し(テント状T)、その後さらに高値になると、心室細動、心停止へと至る。
Ca
不足でテタニー、心不全
※ここでいう「不足」といのは、Caの絶対量が減るというのではなく、血中Ca量が減るという事。
ビタミン欠乏症
ここから先は、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)と水溶性ビタミン(B1・2・6・12・C・葉酸)
ビタミンA
ビタミンAは視細胞を作っているため、
欠乏すると『夜盲症』になる。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲン合成に必要(つまり結合組織の合成に必須)。
また、ビタミンEと同様に抗酸化作用も有している。
ビタミンCの欠乏により『壊血病(血管がもろくなる病気)』『創傷治癒遅延』が起こる。
創傷治癒遅延として共通しているのは亜鉛欠乏である(亜鉛欠乏で味覚障害・傷治癒遅延が生じ、褥瘡治療としても重要視される)。
ビタミンC欠乏は(血管がもろくなることにより)出血傾向になるのだが、その他出血傾向に関わるモノを整理すると以下になる。
血液凝固因子欠乏:
・ビタミンK欠乏(VKは肝臓で血液凝固因子を作るのに必要)
・肝硬変(血液凝固因子欠乏)
・血友病(血液凝固因子欠乏)
血小板因性:
・播種性血管内凝固症候群(血小板の減少)
・血小板機能の低下(アスピリン:薬剤)
・白血病(血小板減少)
※これらは「血液凝固因子欠乏で生じる出血傾向はどれか」という形で出題されるので、整理しておく。
ビタミンD
ビタミンDは、欠乏すると
『くる病』『骨軟化症』になる。
ビタミンE
ビタミンEは抗酸化作用があるが、欠乏により何かが生じる訳ではない。
ちなみに、ビタミンCも抗酸化作用を有している。
ビタミンK
ビタミンKが不足すると『血液凝固因子合成障害』が起こる。
肝臓で血液凝固因子が合成されるのだが、この合成にビタミンKが必要となる。
そんなビタミンKは腸内細菌が合成しているのだが、例えばワルファリンという薬剤はビタミンKの合成阻害を目的としている(ビタミンKが合成されないため、結果的に血液凝固因子も合成されない)。
ワルファリン(=ワーファリン)による抗凝固作用:
ワーファリンの目的は血液が(血液凝固因子の合成阻害により)血液をサラサラにすることだ。これにより脳梗塞・心筋梗塞などを予防できる一方で、出血傾向(出血したら血が止まりにくくなる)ため注意が必要。
例えば、歯科などでは必ずワーファリンを服用していないか申告する必要がある(歯を抜くとき出血し、その血が止まらなくなるので)。
また、ワーファリンを服用しているものは(血液凝固因子の合成を助ける)ビタミンKの摂取は控えるよう指導される(例えば納豆など)。
ビタミンB1
末梢神経炎・脚気
ビタミンB2・6
ビタミンB2・B6は粘膜形成に寄与しており、不足すると『口角炎』が生じる。
ビタミンB12・葉酸
ビタミンB12や葉酸が不足すると、「DNA合成が阻害され、未熟な赤血球(巨赤芽球)ができてしまうこと」で貧血を起こす。
そして「ビタミンB12や葉酸の欠乏による貧血」を『巨血芽球性貧血』と呼ぶ。
巨血芽球性貧血の中でも胃粘膜が萎縮していたり、胃液の分泌が悪かったりすることが原因のものを『悪性貧血』と呼ぶ。
物理的要因
熱傷
熱傷はタンパク質の変性によって起こる。
分類
熱傷の程度は以下の4つに分類される。
- Ⅰ度:紅斑
- Ⅱ度:水泡形成
- Ⅲ度:潰瘍
- Ⅳ:炭化
成人ではⅡ度以上が体表の20%を超えると致死的と言われている。
ちなみに、Ⅰ・Ⅱ度では強い痛みを感じるが、Ⅲ度以上は神経がやられるため痛みは感じなくなる。
Ⅰ度は可逆的(元に戻る)、Ⅱ度以上は不可逆的(完全に元には戻らない)
症状・合併症
腎不全・ショック・DIC
感染症として敗血症(熱傷により血液中に菌が入り炎症症状を呈する)
胃潰瘍(ストレスなどが原因とされ、熱傷患者に胃潰瘍は頻発する)
凍傷
組織が壊死し、熱傷同様の症状を呈す。
※冷たくてエネルギー産生出来なくなり、組織の壊死(熱傷と同様)を起こす。
電撃
交流が直流より危険(家庭用の電流は直流なので、感電は危険!)
電気的な損傷としては神経・循環器障害が挙げられる。
また、電流による熱発生で熱傷が生じる場合がある。
紫外線(UV)
チミンダイマー
皮膚の基底細胞のDNAにチミンダイマーを作らせる。
健康体ではチミンダイマーを修復するのだが、何らかの疾患を有しており修復できない場合は色素性乾皮症(遺伝性疾患で癌を起こしやすい)を呈する。
チミンダイマーとは:
チミンやシトシンは、紫外線を吸収するとピリミジン環の二重結合が開裂して、DNA2重らせん上の隣の塩基同士で共有結合を形成することがある。特によく見られるのが隣り合うチミン同士が結合する「チミンダイマー」である。
ダイマーが形成されると塩基付近の立体構造が大きく変わるため、酵素が塩基を正しく認識できなくなる。
~ウィキペディアより~
組織損傷
エネルギーが強いので組織損傷(熱傷様な症状。例えば海水浴による日焼けなど)。
ちなみに、以下が電磁波の種類である。
放射線
自然界から2.4mSv/1年。
放射線の単位
放射線の単位としては以下などがある。
- ベクレルBg :放射される量を表す。
- シーベルトSv:吸収総量(ヒトに対して)を表す。
- グレイGy :吸収総量(全てに対して)を表す。
放射線の種類
放射線の種類は以下がある。
- α線:ヘリウム原子核
- β線:電子線
- γ線:電磁波
被爆の起こり易さ
- 内部被爆はα>β>γの順で起こりやすい。
- 外部被爆はγ>β>αの順で起こりやすい。
α線は、飛ばない・紙を通さない(なので外部被爆は起こりにくい)。
ただし、エネルギーは強い。
急性放射線障害と晩発性放射線障害
急性放射線障害:
急性放射線障害としては以下などが挙げられる。
- 低程度 (250Sv以下):貧血・リンパ球減少・不妊(これらは全て「細胞分裂が止まるといこと」)
- 中等度 (~500Sv):消化器症状
- 高 度(~1000mSv):神経症状
晩発性放射線障害:
晩発性放射線障害としては以下などが挙げられる。
- 悪性腫瘍
- 白内障
確率的障害と確定的障害
確率的障害:
放射線を浴びても障害の発症に個人差があるもの。
悪性腫瘍など。
確定的障害:
一定の放射線を浴びると必ず障害が起こるもの。
貧血・消化管障害・白内障など
※「閾値」は「しきいち」とも呼ばれる。