この記事では、身体に影響を及ぼす内因について解説していく。
年齢・性別・人種
病因に影響を与える内因として年齢・性別・人種が挙げられる。
例えば性別により、発症率が顕著に異なる疾患として以下などが挙げられる。
男性
- 肝硬変
- 痛風(尿酸多い)
- バージャー病(手足の血管閉塞)
- 心筋梗塞(冠動脈の閉塞。コレステロールが関与)
女性
- 鉄欠乏性貧血
- 膀胱炎
- 片頭痛
- 胆石
- 骨粗鬆症
- 関節リウマチなどの膠原病(自己免疫疾患)
- 甲状腺疾患
先天性
先天性な要因としては「遺伝」「非遺伝」に分類して記載。
遺伝
遺伝的要因とは「疾患遺伝子が世代を超えて伝わること」を指す。
常染色体優性遺伝
常染色体優性遺伝病は以下を指す。
常染色体優性遺伝に関しては、以下のイラストを十分理解しておいてほしい。
常染色体優性遺伝にはハンチントン病が挙げられる。
常染色体劣性遺伝
常染色体劣性遺伝とは以下を指す。
常染色体劣性遺伝に関しては、以下のイラストを十分理解しておいてほしい。
※上記の「保因者」という用語については後述。
常染色体劣性遺伝にはフェニルケトン尿症が挙げられる。
例えば常染色体劣性遺伝において「男女を問わず保因者が50人に一人である場合」は、理論的に発症者は全出生10000人に1人と予想される(計算は1/50×1/50×1/4⇒1/10000)。
性染色体
性染色体異常(伴性劣性遺伝)は「X染色体上の遺伝子異常」であり、以下のイラストを十分理解しておいてほしい。
伴性劣性遺伝には以下などが挙げられる。
- 血友病A・B
- デュシェンヌ型筋ジストロフィー
保因者とは:
保菌者とは「劣性遺伝病の原因となる遺伝子を持っているが、発症していない人」を指す。
※突然変異した遺伝子を1つだけしかもたない場合、みかけ上は正常な人と変わらない(=保因者)。しかし、その遺伝子が子孫に伝わる可能性はある。
保因者は、一対 (いっつい) (2本)の染色体の一方に病気の原因となる遺伝子をもつ。常染色体劣性遺伝の場合、正常な染色体が1本あれば発症せず保因者となる。X染色体劣性遺伝(伴性劣性遺伝)の場合、病気の原因となるX染色体(X')を1本だけもつ女性(XX')は発症せず保因者となるが、男性(X'Y)は正常なX染色体がないため必ず発症する。
ミトコンドリア・母子遺伝
ミトコンドリア機能障害(母子遺伝)としては以下が挙げられる。
- ミトコンドリア脳筋症
遺伝疾患に関しては、以下のイラストもわかりやすいので添付しておく(難病センターより画像引用)。
非遺伝
「非遺伝の先天性異常」としては「染色体の数異常」が挙げられ、具体的には以下の通り。
- ダウン症(21トリソミー)→21番染色体が余分に複製される
- ターナー病(X染色体の欠失)
- クラインフェルター病(男児が余分なX染色体(XXY)をもって生まれる性染色体異常)
- 母体の要因
- 代謝内分泌疾患
- 母体の感染症(風疹・サイトメガロウィルスなど)
体性防御能
体性防御機構としては「体表など」「好中球・マクロファージによる貪食」「免疫能」が挙げられる。
体表など
体表面には毛・皮脂・常在菌があり、これらが体性防御機構として働いている。
※常在菌はphを7.4に保つためにも重要。
好中球・マクロファージによる貪食
傷を負うと、まず好中球やマクロファージが貪食する。
※好中球が消化・貪食した結果として、膿が形成される(膿が出来ているのは好中球が戦った証)。
免疫能
免疫能とは「外来異物で生体に不利益の有害物質に対して、特異的に攻撃する能力」を指す。
免疫能には「液性免疫」と「細胞性免疫」に分類される。
液性免疫
液性免疫は「Bリンパ球が作る抗体(免疫グロブリン)」のことである。
免疫グロブリンは血液に溶けているため「液性」と表現する。
免疫グロブリンの種類は以下の通り。
- IgM:生まれつき持っている。感染直後に上昇する。
- IgG:免疫後に作られる。
- IgA:粘膜
- IgE:I型アレルギー
- IgD:役割無し
※特異的に攻撃するため、IgMがIgGにクラススイッチして免疫を作る。
※ワクチン接種で目指すのは「感染防御能をもつIgG」である(「感染防御能を持たないIgG」も多い)。
細胞性免疫
細胞性免疫はT細胞が主役で、具体的には以下の通り。
- ヘルパーT⇒免疫不全体の抑制(イラスト左)
- 細胞傷害T⇒「ウィルス感染細胞」や「移植された細胞」の攻撃(イラスト右)
細胞傷害TはキラーTと同義。
「キラー」という名称は、キラーT細胞の他に「チュラルキラー細胞」もあり紛らわしいので「細胞傷害T(細胞)」と呼ばれることが多い。
関連記事(自然免疫と獲得免疫)
以下は、自然免疫と獲得免疫をイラスト化したものである。
以下の記事では、上記イラストも含めて「自然免疫・獲得免疫」や「液性免疫・細胞性免疫」と深堀解説しているので、併せて観覧知ることで理解を深めてもらいたい。