肘部の疾患 | 整形外科

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この記事では「肘部の疾患」について記載していく。

 

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肘内障

 

肘内障の受傷機転は以下になる。

  • 子供が、急に強く手を引っ張られることで発症。
  • 橈骨頭輪状靭帯から逸脱した病態を指す。

 

以下は、肘関節周囲と輪状靭帯のイラスト。

発症時はギャッと泣くことが多いがすぐに泣き止み、「前腕回内位で上肢を下垂した状態」で脱力した状態を呈する。子供は肩から動かさないので、この状態を見た親は「肩が脱臼している」と思い込むことも多い。

 

レントゲン所見は異常なし。

 

治療

治療は整復法。

前腕回外しながら肘を屈曲させていくことで、カクっという音とともに整復される(食べ物を口に運ぶ動作をイメージ)。整復後は何事もなかったかのように腕を使えるようになる。

 

 

肘頭滑液包炎

 

滑液包に炎症を生じ、滑液が貯留する状態を「滑液包炎」を呼ぶ。

そして「肘頭関節包炎」は、滑液包が肘頭で生じたものを指す。

※滑液包炎は肘頭の他に、例えば足関節外側(外果部)などで生じる。

 

以下は関節包と滑液包のイラスト。

 

症状

肘頭滑液包炎の症状は「滑液包における滑液の貯留」だが、以下を伴うことがある。

疼痛・熱感・発赤(いわゆる炎症所見)

 

原因

原因は機械的刺激(繰り返しの関節運動)である場合が多い。

※その他、外傷・感染でも生じる。

 

治療

  • 誘因となる機械的刺激の抑制
  • 対処療法として、滑液の穿刺吸引
  • 根治療法として、滑液包の摘出手術

 

 

上腕骨外側上顆炎

 

上腕骨外側上顆炎は、以下の俗称で呼ばれることもある。

  • テニス肘
テニスやゴルフが流行した時代に、上腕骨外側上顆炎も多発したことから俗称が付いた。

 

上腕骨外側上顆炎の病態は以下の通り。

手関節伸筋群(手関節背屈筋群)・回外筋は外側上顆に付着しており、この「付着部付近の腱・骨膜」に炎症が生じたもの。

 

好発年齢

40~50代

※主婦・コックなどでも誘因動作を反復するすべての人に生じる可能性がある。

 

症状

上腕骨外側上顆の自発痛・圧痛・運動時痛(手関節背屈筋の収縮)

 

診断

上腕骨外側上顆炎は、画像所見で異常が認められないため、以下の疼痛誘発テストを診断に用いる。

Tomsen Test(トムセンテスト)

握り拳を作った状態で、手関節を背させ、検者がそれに掌屈方向の抵抗を加えると疼痛出現 or 増悪。

テストのイメージとしては以下な感じ。

 

中指伸展テスト(ミドルフィンガーテスト)

肘関節・手関節・手指関節を全て伸展位にする。その状態で、中指を押さえ、抵抗に抗して上肢挙上すると疼痛出現 or 増悪。

 

Chair Testチェアーテスト

前腕回内位、肘関節・手関節伸展位で、椅子を持ち上げる。

 

治療

  • 原因となった動作の禁止
  • 手関節を良肢位(手関節背屈・手指屈曲位)で固定(ただし、固定してくれる人は稀)
  • 肘関節用サポーター(テニス肘用サポーター)
  • 手関節伸筋群の付着部(上腕骨外側上顆付近)に局所注射
  • NSAIDs

 

肘関節サポーターについて

サポーターの幅は最低3cmは必要(細すぎると皮膚にめり込んで組織が壊死する)。前腕筋腹の一番太い部分に巻く。就寝時も暴れてしまう可能性があるので重度な場合は着用しておくと良い。

 

以下は楽天・アマゾンで購入できるサポーターの例。

 

 

 

上腕骨内側上顆炎

 

上腕骨の「内側上顆」に炎症が生じることもあり、これを「上腕骨内側上顆炎」と呼ぶ。

※上腕骨内側上顆は「手関節掌屈筋群の起始部」である。

 

俗称

ゴルフのスウィングで生じることがあるため「ゴルフ肘」という俗称もついている。

 

誘因

また、例えば看護・介護などで肘関節・手関節屈曲(例えば患者を抱えるなど)を繰り返す場合に生じやすい。

 

診断

テニス肘のような疼痛誘発テストは存在しないため、問診・症状から推論していく。

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