この記事では胸郭出口症候群について記載していく。
胸郭出口症候群とは
胸郭出口症候群とは以下を指す。
絞扼障害を起こす部位は以下の3つに大別される。
斜角筋三角
前斜角筋と中斜角筋に囲まれた「斜角筋三角」を通過する際に絞扼。
=斜角筋症候群
肋鎖間隙
鎖骨と第一肋骨で囲まれた「肋鎖間隙」を通過する際に絞扼。
=肋鎖症候群
小胸筋胸壁間部
小胸筋の下(小胸筋胸壁間部)を通過して腋窩に達する際に絞扼。
=過外転症候群
胸郭出口症候群の症状
胸郭出口症候群は、どの部位の通過障害が起きても症状は同じ(上肢全体に症状)。
- 患側上肢のしびれ
- 知覚障害
- 深部腱反射減弱 or 消失
- 筋力低下
- 鎖骨下動脈圧迫⇒冷感・チアノーゼ・橈骨動脈脈拍減弱
斜角筋症候群・肋鎖症候群・過外転症候群
ここから先は、胸郭出口症候群を3つの症候群に細分化して解説していく。
斜角筋症候群
斜角筋症候群は、「若いなで肩の女性」に多い(10代・20代から患者が出てくる)。
「斜角筋三角の狭窄が起こる原因」としては以下が挙げられる。
- 頚肋:第7頸椎横突起の過形成で第7頸椎から肋骨が出ている状態(奇形)
- 前・中斜角筋付着部同士が近い
- なで肩(斜角筋の過緊張が生じる)
整形外科的テスト
- アドソンテスト
肋鎖症候群
「胸を張り、後下方へ引き下げる姿勢(いわゆる「気を付けの姿勢」)で肋鎖間隙は狭小化しやすい。
整形外科的テスト
- エデンテスト
- モーリーテスト
手術
第一肋骨の切除
過外転症候群
上肢を挙上し過外転すると小胸筋が過緊張して(小胸筋胸壁部が狭小化して)症状が出現する。
日常生活では「電車のつり革を掴んだ姿勢」がイメージしやすい。
整形外科的テスト
- ライトテスト
- ルーステスト(肩関節外転位でグーパー)
保存療法
上肢を外転しないような工夫
手術療法
小胸筋の切除(小胸筋を切除しても、機能的にはあまり問題ないとのこと)