遺伝性疾患 | 整形外科

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この記事では、遺伝性疾患について解説していく。

 

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遺伝性疾患について

 

遺伝性疾患を理解するうえでベースとなる染色体の情報は以下の通り。

 

常染色体    性染色体

22×2=44   XXー女

22×2=44   XYー男

 

DNAはタンパク質の設計図
DNA(デオキシリボ核酸)は長い鎖のような分子である(この鎖に「タンパク質の設計図」がいくつも組み込まれている)。

設計図の文字に当たるのは4種類の塩基、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)で、これらがDNA上に特定の順番で並び、3つずつの組合せ(塩基配列)で1つのアミノ酸を示す暗号(コドン)になっている。
※このアミノ酸が組み合わさってタンパク質ができ上がる。

こうしてでき上がったタンパク質が、体の一部になったり、酵素となって体の機能を調整したりするわけだ。

 

 

染色体はDNAが集まった棒

長い鎖状のDNAは核の中で、あるタンパク質に巻きついて、折りたたまれて格納さ
れている(顕微鏡で見ると核の中のクロマチンというまだら模様に見える)。

そして細胞が分裂するとき、DNAが糸巻きのようにそのタンパク質に巻き付いて棒状の物
質になる。これが染色体だ。

つまり染色体は、細胞が分裂するときのみに現れる「DNAとタンパク質が集まってできた棒」といえる。

ヒトの染色体は46本あり、1番から22番までは常染色体と呼ばれ、それぞれ父親由来のものと母親由来のものとが1本ずつある。

また性染色体として、女性はX染色体を2本、男性はX染色体とY染色体を1本ずつもっている。

上記の「常染色体」と「性染色体」を合わせた合計46本の染色体をヒトは有している。

 

各遺伝病の特徴

 

「病的遺伝子を受け継いだ場合」における各遺伝の特徴は以下の通り。

 

  • 常染色体優性遺伝⇒必ず次世代で発病する
  • 常染色体劣性遺伝⇒次世代で発病したり、世代が飛んで発病したりする。
  • 伴性劣性遺伝  ⇒男性に発病(女性には発病しない)

 

各遺伝の特徴については以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて観覧してみてほしい。

⇒『内因(性別・先天性・体性防御能) | 病理学

 

 

軟骨無形成症

 

軟骨無形成症の特徴は以下になる。

  • 軟骨内骨化の異常(膜性骨化は正常)⇒太く短い骨⇒短肢型低身長
  • 常染色体優性遺伝

 

※「軟骨内骨化」と「膜整骨化」に関しては以下のイラストを参照。

 

症状

  • 短肢型低身長(四肢短縮型小人症)
  • 大きな頭蓋(膜性骨化は正常なため頭蓋・腸骨などは大きくなる)
  • 短指
  • O脚
  • 生理的湾曲の増強
  • 前額と下顎の突出
  • LCSの合併
  • 三尖手

 

  • 易骨折性なし
  • 知覚障害無し

 

 

骨形成不全

 

骨形成不全の特徴は以下になる。

  • (軟骨無形成症とは逆で)軟骨内骨化は正常、膜性骨化は異常
  • 上記の結果、「細くて長い骨」が形成される(易骨折性)

 

※「軟骨内骨化」と「膜整骨化」に関しては以下のイラストを参照。

 

先天性重症型

生下時多発骨折⇒死産または早期死亡

 

遅発性

  • 2~5歳で骨折して発現される
  • 常染色体優性遺伝
  • 易骨折性あり(頻回に骨折、しかし容易に治癒⇒結果、歪んで治癒するので湾曲形成)
  • 難聴と青色強膜
  • 成長が止まると骨折頻度が減る

 

 

大理石病

 

大理石骨病は「骨幹端の破骨細胞の機能低下」によって生じる。

 

破骨細胞が機能低下を起こしているため、古い骨を吸収できず「硬いが、力学的に弱い骨(チョーク様な骨)」となっている。

 

常染色体優性遺伝・常染色体劣性遺伝、いずれのケースもあり得る。

 

骨髄腔低形成なため以下が生じる。

  • 重度貧血(赤血球不足)
  • 易感染性(白血球不足)

 

 

マルファン症候群

マルファン症候群の特徴は以下になる。

  • コラーゲン形成異常による結合組織疾患
  • 常染色体優性遺伝

 

症状

  • 高身長・細い手足(くも指)
  • 側弯症・漏斗胸(ろうときょう)の合併あり
  • 心血管異常(大動脈弁疾患・解離性大動脈瘤など)
  • 関節の異常可動性
  • 易骨折性なし

 

関節弛緩(関節が緩い)・低緊張で骨が長軸方向に押さえつけられないので、骨が伸びやすい(長伸張になり易い)。

ちなみに「成長期に過剰な筋力トレーニングをしたら身長が伸びない」という説は、上記の理屈から、あながち間違いではない。

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