保健統計を深堀り解説!!

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この記事では保健統計を深堀解説している。

ザックリとした保健統計の分類は以下の通り。

 

  名称 調査内容
人口統計 国勢調査
(人口静態統計)

個人に関すること(性・年齢・地域・配偶者関係・就業など)

世帯に関すること(人員・種類・住居など)

人口動態統計 出生・死亡・死産・婚姻・離婚
疾病・障害に関する統計 国民生活基礎調査 世帯構造・有病状態・医療機関受診状況・自覚症状・健康意識・介護状況・所得水準・貯蓄など
患者調査 患者の性別・生年月日・患者の住所・外来入院患者の種別・受療の状況・障碍者別ニーズの状況など
全国在宅障害児・者等実態調査 障害の種類・程度・原因、日常生活の状況、福祉用具の所持状況、障害者別ニーズの状況など

 

ではでは、詳細を解説していく。

 

人口統計

 

人口統計は以下の2つに分類される。

  • 人口静態統計(=国税調査
  • 人口動態統計

 

人口静態統計(=国勢調査)

人口静態統計は国税調査とも呼ばれ、ある一時点での人口規模や構成を表す。

特徴は以下の通り。

  • 総務省から5年に一度(10月1日)に実施。
  • 全数調査
  • 調査日に日本国内に常駐している人で、外国人も含む

 

人口動態統計

人口動態統計は、一定期間内における人口の変動を表す。

人口動態統計は以下の2種類に分けられる。

  • 人口の増減に直接的に関わる⇒出産・死亡・死産
  • 人口の増減に間接的に関わる⇒婚姻・離婚

 

以下は人口静態統計(国勢調査)と人口動態統計を表にしたもの。

  国勢調査(人口静態調査) 人口動態調査
対象 全数
調査期間

5年毎

(10年毎に大規模調査と中間年次の5年目の簡易調査)

毎年

(毎月集計)

時点(10月1日午前0時現在) 期間
調査内容

・常住人口

・個人調査と世帯調査

①人口(性・年齢・世帯構成・学歴・国籍など)

②職業

③家計収入の種類

④住居の種類など

※実施の都度異なる項目が加えられる。

市区町村の作成する人口動態調査票に基づく。
調査の流れ 国勢調査⇒市町村⇒都道府県⇒総務省統計局 市町村⇒保健所⇒都道府県⇒厚生労働省
調査結果 人口構造・完全生命表作成・平均寿命作成 出生率・死亡率(乳児・新生児含む)・死産率・周産期死亡率・婚姻率・離婚率
特記事項 国内常在外国人を含 ーーーーー
人口動態統計の諸率の分母の人口は国勢調査人口である。

 

 

人口指数

 

人口指数には以下がある。

  • 年少人口指数(※年少人口=0-14歳
  • 老年人口指数(※老年人口65歳以上
  • 従属人口指数
  • 老年化人口指数

 

生産年齢人口15-64歳(15-59歳)

 

年少人口指数

年少人口指数=年少人口/生産年齢人口×100

 

老年人口指数

老年人口指数=年少人口/生産年齢人口×100

 

従属人口指数

従属人口指数=(年少人口+老年人口)/生産年齢人口×100

 

老年化人口指数

老年化人口指数=老年人口/年少人口×100

 

 

出生(人口動態の一つ)

 

出生の3指標以下であり、「将来の人口増減の予測」に用いられる。

  • 粗出生率
  • 年齢別出生率
  • 合計特殊出生率

 

粗出生率

粗出生率=1年間の出生数/その年の人口×1000

 

年齢別出生率

年齢別出生率=ある年齢の女性から生まれた出生児/その年齢の女子人口×1000

※1人の母(15-49歳までの女性)がどのくらい子供を産むかを示す。

 

合計特殊出生率

合計特殊出生率=各年齢別出生率の合計/1000

「母の年齢別出生率/同年齢の女子の人口」の15-49歳の合計。これが2.1を割ると将来人口は減少する。

※国試では、合計特殊出生率が一番よく問われる!

 

関連記事

⇒『出産数・出生数(+違い)

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死亡(人口動態の一つ)

 

死亡に関する統計は以下の通り。

  • 粗死亡率
  • 年齢調整死亡率
  • 死産率
  • 乳児死亡率・新生児死亡率・早期新生児死亡率
  • 周産期死亡率

 

粗死亡率

観察対象・集団を性別や年齢別などに分けず、全人口と全死亡率から計算する。

 

年齢調整死亡率

人口構成が異なる集団化の比較を行う時に用いる基準人口を用いて、年齢人口構成の歪みを補正する。

 

死産率

死産とは「妊娠満22週以降の死児の数

死産率の計算式は以下の通り。

死産率=死産数/出産数(死産数+出生数)×1000

※ポイントの一つは分母が出産数である点。

 

乳児・新生児・早期新生児死亡率

  • 乳児死亡   ⇒生後1年未満の死亡
  • 新生児死亡  ⇒生後4週(28日)未満の死亡
  • 早期新生児死亡⇒生後1週(7日)未満の死亡

 

乳児死亡率・新生児死亡率・早期新生児死亡率の計算式は以下の通り。

「乳児死亡数 or 新生児死亡数 or 早期新生児死亡数」/出生数×1000

 

 

周産期死亡率

周産期死亡数「妊娠満22週以降の死産数」と「早期新生児死亡数(=生後1週未満死亡数)」を合わせたもの

「妊娠満22歳以後の死亡」と「早期新生児死亡」とは、以下などの理由から「出生をめぐる死亡として観察し、母子保健上の指標とするため」に提唱された。

  • 母体の健康状態に強く作用されるという共通点があること
  • 各国での死産の定義が統一されておらず、出生直後の死亡も死産として届け出られること
平成6年以前の周産期死亡は、妊娠満28週以後の死産と早期新生児死亡を合わせたものなため、資料を観覧する際には注意が必要。

 

 

周産期死亡率の計算式は以下の通り。

周産期死亡率=「妊娠満22週以降の死亡数+早期新生児死亡数」/出産数(出生数+妊娠満22週以降の死産数)×1000

※ポイントの一つは分母が出産数である点。

 

 

母集団が出生数でないのはどれか?(正解は2つ)

新生児死亡率 or 乳児死亡率 or 死因別乳児死亡率 or 周産期死亡率 or 死産率 or 妊産婦死亡

答え:周産期死亡率・死産率・妊産婦死亡

※周産期死亡率・死産率は、母数団が出産数

 

自然増減=年間出生数ー年間死亡数

 

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疾病・障害統計(医療統計)

 

疾病・障害統計は「医療統計」とも呼ばれる。

 

疾病・障害統計の意義は以下の通り。

集団の健康度を評価するためには、平均寿命だけでなく、生存の状態を把握する必要がある。

 

主な医療統計としては以下が挙げられる。

  • 国民生活基礎調査
  • 患者調査
  • 身体障害者実施調査

 

国民生活基礎調査

国民生活基礎調査は、保健・医療・福祉・年齢・所得の実態を「世帯面」から把握。

例:有訴者数通院者数など(←これらは患者調査ではない!)

 

患者調査

患者調査は、患者数の実態を「医療機関側」から把握。

例:受領率平均在院日数類推患者数など

患者調査は、病院及び診療所を利用する患者について、その傷病の状況などの実態を明らかにし、医療行政の基礎資料を作ることを目的として3年に1回実施する。推計患者数・受療率が分かるが、罹患率は求められない(病気を患っても医療施設を利用しない人がいるため)。

患者調査の調査対象施設は病院・一般診療所・歯科診療所

 

有訴者率

有訴者とは、世帯員(入院者を除く)のうち病気やけがなどで自覚症状のあるものを言い、人口千人に対する有訴者数の割合を「有訴者率」という。

有訴者率=有訴者数/世帯人員数×1000

 

通院者率

通院者とは、世帯員(入院者を除く)のうち、病気やけがで病院や診療所、あん摩・はり・きゅう・柔道整復師に通っている者をいい、人口千人に対する通院者数の割合を「通院者率」という。

通院者率=通院者数/世帯人員数×1000

 

罹患率

年間に病気が発症した患者数と人口との比率を「罹患率」という。

罹患率=年間に罹患届出された患者数/10月1日現在の総人口

 

受療率

ある特定の日に疾病治療のために、すべての医療施設に入院あるいは通院、又は往診を受けた患者数と人口10万人との比率を「受療率」という。患者調査によって、病院あるいは診療所に入院又は外来患者として治療のために通院した患者の全国推計患者数を把握し、「受療率」を算出する。

受療率1日の全国推計患者/10月1日現在の総人口数

 

  • 有病率ある一時点において疾病を有している人の割合
  • 罹患率一定期間にどれだけの疾病者が発生したか
  • 受療率ある特定の日に疾病治療のために全ての医療施設に入院または通院・往診を受けた患者数と人口10万人との比率。
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