この記事では、衛生・公衆衛生における「医療法・保健所と保健センターの違い・社会保障制度・保健統計・労働安全衛生法」にフォーカスした記事になる。
医療法と医療計画
医療法とは「我が国の医療供給体制の基礎となる法律」である。
医療法の「第一条:目的」は以下の通り。
- 医療を受けるものによる医療に関する適切な選択の支援
- 医療の安全の確保
- 病院・診療所・助産所の開設・管理・設備
医療法におけるポイントは以下の通り。
- 病院 ⇒20床以上
- 診療所⇒20病未満(有床診療所・無床診療所がある)
- 特定機能病院⇒高度医療を提供出来る病院のこと
医療計画(5疾患・5事業)
医療計画における5疾患・5事業は以下の通り。
5疾患
がん・脳素中・急性心筋梗塞・糖尿病・精神疾患
5事業
救急医療・災害医療・へき地医療・周産期医療・小児医療
保健(保健所と地域保健センター)
保健所と地域センターの特徴(+違い)は以下の通り。
保健所
特徴
- 広域的・専門的
- 技術的拠点としての機能強化
- 保健・医療・福祉に携わる施設との連携促進
- 老人保健サービスと共に、実施主体を一本化
設置者・所長
- 設置者は都道府県+保健所政令市
- 所長は(一定の要件を満たした場合)医師である必要は無い。
地域保健センター
特徴
対人保健サービス
- 予防接種・検診
- 母子健康保険手帳の交付
- 保健事業(保険教室など)
- 養育医療
対物保健サービス
- 一般廃棄物の処理(産業廃棄物とは違うので注意!!)
- 火葬・埋葬の許可など
設置者・所長
- 設置者は市町村
- 所長は医師である必要はない
社会保障制度
ここでは社会保障制度のうち「社会福祉」と「医療保険・公医療」について記載していく。
社会福祉
社会福祉とは以下を指す。
制度としては以下がある。
- 社会福祉法
- 社会福祉六法
社会福祉の実施機関(+特徴)は以下などが挙げられる。
社会福祉事務所
- 社会福祉法で規定
- 社会福祉六法の業務を担当する
- 社会福祉行政の第一線機関
- 都道府県・市・特別区に設置義務
児童相談所
- 児童福祉法で規定
- 都道府県・指定都市に設置
- 18才未満(20才ではない!)の児童に対する様々な相談
相談内容としては以下などが挙げられる。
「保健相談・障害相談・非行相談・育成相談」
更生相談所
障害者のための相談所で以下が挙げられる。
- 知的障害更生相談所 ⇒知的障害者福祉法で規定
- 身体障害者更生相談所⇒身体障碍者福祉法で規定
役割・特徴は以下の通り。
- 18才以上の知的障害者・身体障害者や、その家族の相談に応じる(医学的・心理的・職能的判定など)
- 医師・心理判定員・理学療法士・保健師・知的身体障害者福祉司などが従事。
社会福祉協議会
- 社会福祉士が従事
- 地域の実情に応じた住民の福祉を目的とする民間の自主団体。
- 地域福祉の推進役
- 中央(全国)・都道府県・市町村の各段階に設置
- 「地域の低所得者世帯・高齢者・障害者に対して生活福祉資金の貸与」・「住宅福祉サービスの運営・老人福祉活動・障碍者福祉活動・ボランティア活動への援助」など
- 自治体の補助金を受け、住民と協力して地域福祉の向上に貢献
民生委員
- 民生委員法により規定
- 我が国独自の制度化されたボランティア
- 知事が推薦⇒厚労大臣が委嘱(任期3年)
医療保険の種類
保険者=保険を発行してくれる人・お金を払ってくれる人
被保険者=保険証をもって医療を受ける人
医療保険の種類は以下に分類出来る。
- 被保険者保健(職域保険)
- 国民健康保険
被保険者保健(職域保険)
被保険者保健は以下に分類できる。
- 健康保険
- 船員保健
- 国家公務員共済組合
- 地方公務員等共済組合
- 私立学校教職員共済制度
健康保険
健康保険は以下に分類できる。
- 協会管掌健康保険(協会けんぽ):保険者⇒全国健康保険協会・被保険者⇒中小企業に勤める人
- 組合管掌健康保険:保険者⇒各健康保険組合・被保険者⇒主に大企業単位で設立した健康保険組合の加入事業所に勤めている人。
国民健康保険
国民健康保険の保険者・被保険者は以下の通り。
保険者
各市町村
被保険者
自営業者や農家など、被用者保険に加入していない人とその扶養家族
保健統計
名称 | 調査内容 | |
人口統計 | 国勢調査 (人口静態統計) |
個人に関すること(性・年齢・地域・配偶者関係・就業など) 世帯に関すること(人員・種類・住居など) |
人口動態統計 | 出生・死亡・死産・婚姻・離婚 | |
疾病・障害に関する統計 | 国民生活基礎調査 | 世帯構造・有病状態・医療機関受診状況・自覚症状・健康意識・介護状況・所得水準・貯蓄など |
患者調査 | 患者の性別・生年月日・患者の住所・外来入院患者の種別・受療の状況・障碍者別ニーズの状況など | |
全国在宅障害児・者等実態調査 | 障害の種類・程度・原因、日常生活の状況、福祉用具の所持状況、障害者別ニーズの状況など |
上記の保健統計に関する詳細は以下の記事にまとめているので必ず理解しておいてほしい。
⇒『保健統計を深堀り解説!!』
労働安全衛生法
常勤50人以上の労働者を使用する事業場では、事業者は衛生管理者・産業医を選任しなければならない。
※産業医は少なくとも月1回・作業巡視しなければならない。
労働環境の3管理
労働衛生の3管理は以下の通り。
作業環境管理
作業環境管理とは「有害要因を作業場から除去すること」である。
具体的には以下などが挙げられる。
- 作業場の換気
- 作業の遠隔化
作業管理
作業管理とは「労働者の作業そのものを管理すること」である。
- 適正な作業手順・方法
- 保護具の敵影私用
- 作業姿勢の適正化
- 作業時間の管理(作業時間の短縮など)
健康管理
健康管理とは「労働者の健康状態を把握し、その結果に基づいた事後措置及び健康指導をすること」である。
労働者の健康状態を把握する手段としては「健康診断」「保健指導」が挙げられる。
健康診断は以下の2つに分類される。
- 一般健康診断⇒一般業務は1回/1年・特定業務は1回/6カ月毎に行う。
- 特殊健康診断⇒有害業務の従事者に対して1回/6カ月毎に行う。
※「医療保険者に義務付けられている検診」としては特定健康検診があり、以下で詳細を記載している。