この記事では、膝関節疾患について解説している。
膝関節の概要
膝蓋軟骨軟化症
膝蓋軟骨軟化症の特徴は以下の通り。
- 膝蓋大腿関節における(膝蓋骨側の)関節軟骨が軟化する
- 膝蓋軟骨軟化症は、青少年・スポーツ選手に好発
- 原因は不明
問診としてのスクリーニングでは「中高生でスポーツをしている子が、膝の奥に痛みを訴えてきた場合」は膝蓋軟骨軟化症の可能性も視野に入れる。
離断性骨軟化症
離断性骨軟化症の特徴は以下の通り。
機序
- 軟骨下骨の一部(関節軟骨も含む)の壊死
- 関節面より剥離(関節ねずみ)
- 関節遊離体の形成
原因
直達外力が原因ではない(原因は不明)と言われてはいるが・・・
「繰り返される小外傷(スポーツ)⇒血管の血栓性塞栓⇒壊死」との仮説あり。
年齢
15~20才の男性に多い。
好発部位
離断性骨軟化症は「膝関節」「肘関節」に多発する。
- 膝関節では大腿骨内顆部に多い。
- 肘関節では上腕骨外顆部に多い。
診断
単純X線・MRI(←初期から診断可能)
治療
保存的治療
若年者で関節軟骨の連続性が保たれている場合は、運動制限の上、ギプス固定や装具による免荷を行い、遊離骨片の再癒着に期待する。
観血的治療
例えば関節鏡下で「穿孔術」・「骨軟骨片固定術」・「摘出術と骨軟骨移植術」などが行われる。
滑膜ひだ障害(棚障害)
滑膜ひだ障害とは、膝関節内の滑膜壁の形態異常を指す。
滑膜膝障害は、棚障害(たな障害)とも呼ばれ、膝・肘に好発する。
具体的には、「滑膜ひだ」が肥大することで以下が生じる。
不思議がってる人に教えてあげよう
膝屈曲位から完全伸展位にする際、膝蓋骨上端付近にコツっとする弾発音が生じる人は結構いる。これは半月板インピンジメントとてゃ全く異なる感触。なぜコツっとなるのか不思議がる人も多いので、不思議がっている人がたら教えてあげよう。
神経病性関節症(シャルコー関節)
シャルコー関節の特徴は「痛覚が失われて、その結果、使い過ぎて関節破壊が生じること」である。
これにより「(痛覚が失われているので)無痛性の関節腫脹」が生じる。
シャルコー関節の原因疾患としては以下が挙げられる。
- 糖尿病
- 脊髄空洞症
- 脊髄癆(梅毒で生じる。ただしペニシリンが開発されてからは、ここまで至ることは無くなった)
- 先天性無痛無汗症
治療
治療としては以下などが挙げられる。
- 原疾患に準じた治療
- 装具による関節保護
- 「病巣である滑膜切除」や「関節固定術」
膝窩嚢腫(ベイカー嚢胞)
ベイカー嚢胞とは「膝窩部に生じる滑液包炎のこと」を指す。
中高年の女性にい多い。
「(滑液包炎ではあるが)熱感・疼痛が無く、腫瘤だけ」というのが特徴で、腫瘤は半腱様筋と腓腹筋内側頭の間に形成される。
ガングリオンとの鑑別が大切。
治療
治療としては以下が挙げられる。
- 滑液の穿刺・排液し、(消炎目的で)ステロイド注入
- 上記で消失しない or 栗加瀬素場合は滑液包切除も検討
変形性膝関節症
変形性膝関節症は以下の記事を参照。