医療概論の中間試験として「最近の医療系トピックスに関して自分の考えも添えて作文しろ」みたいなのがありました。
事前に作った原稿を持ち込んでもOKということで、以下のタイトルな感想文を提出。
備忘録としてブログにも添付しておきます。
医療概論の前期中間の感想文「訪問マッサージの今後について」
テーマは以下です。
以下が本文(A41枚に収める必要が無いため、多少加筆)
少子高齢化に伴い、社会保障費が財政を圧迫しており、医療・介護報酬ににも影響が及んでいます。
そして近年、この「社会保障費の財源不足を解消する対策」は、柔道整復師・あはき師の業界にも派生しています。
例えば「柔道整復師の不正受給問題対策」として、直近の改正で「柔道整復師学校を卒業してすぐは開業できない(厳密には、開業はできるが、施術管理者として保険請求はできない)」となりました。
この流れは、同じく保険請求が可能なあはき師にも及ぶ可能性があります。
例えば、(同じく保険請求をベースにした)訪問マッサージでも、卒後数年は独立開業が難しくなるかもしれません。
また、「(医療保険制度を利用した)訪問マッサージ事業」の制度も変更され続けており、直近の大きな制度改正としては、去年「受領委任制度」が導入されました。
この制度が導入された理由としては「あはき療養費が1000億円を超える規模となっているにもかかわらず、現在、ルールや指導監督の仕組みがないが、これを受領委任協定・契約とすることにより、ルールが明文化される」とうことらしいです。
※以前より(償還払いだけでなく)代理受領が可能となっていましたが、代理受領との大きな違いは「監査・監督の仕組みを取り入れたこと」のようです。
そして、社会保障費の抑制を目的に、さらに大胆なメスが入る可能性も考えられます。
ここから先は、そんな将来の展望に関して「訪問マッサージと類似した形態である訪問リハビリ」を例に考察していきたいと思います。
訪問リハビリでは度重なる制度改正に伴い「目標設定」「結果」が重要視されるようになっています。
この目標設定は、単に「痛みを改善する」「動作が楽になる」などの機能的な目標に留まるのではなく、活動・参加レベルの目標でなくてはならない点が強調されつつあります。
そして例えば
「腰が痛くて寝たきりになってしまった。そのため訪問リハビリを利用したい」
というクライアントがいたとして、その人の計画書を作成する場合、「腰痛改善」だけをターゲットにするのではなく「最近困難となった活動・参加の再獲得」にフォーカスした目標を設定します。
この目標を達成するためには、ICFに沿って思考をすると様々な手段があることが分かります。
例えば「再び、食卓まで歩いていき、皆で食事を楽しむことが出来る」という目標を立案したとします。
その場合、この目標を達成する手段の一つは「以前の腰部機能再獲得(機能に対するリハビリ)」ですが、それ以外にも以下が手段として考えられます。
- (現在の腰部機能でも)腰痛が生じない起き上がり・歩行動作の獲得(活動に着目したリハビリ)
- 電動ベッド・手すり・座面に対して高さ調整クッション利用(福祉用具などの環境因子に配慮したリハビリ)
- 家族に介助方法を伝える、適宜残存能力の回復に合わせて方法変更もアドバイス(家族という環境因子に配慮したリハビリ)。
- 他にも「(医師確認した上で)本人が好きな食べ物を1品増やすこと」や「食卓で食事が出来たらポイントルが貯まり、その報酬に孫から特別プレゼントを贈呈」など、個人に適した動機付けを試行錯誤しつつ、カンファレンス時に提案することもあり得ます(個人因子も考慮した対策を考案)。
そして訪問マッサージも、上記のような「(心身機能だけに着目するのではなく)ICFの概念を重要視した計画を定期的に立案(現在の訪問リハビリは3カ月)」が必須になり
「目標を達成したらサービスを終了」or「次の明確な目標を設定した上での継続」という「期間限定志向型なサービス」へと遷延していく可能性も否定できません。
そして、万が一このような事態が生じた場合は、あん摩マッサージ指圧師に以下の能力が問われることになるかもしれません(学校で学ぶか、卒後研修にするかは別として)。
- (心身機能・身体構造のみならず)活動・参加も踏まえた計画書の立案するための思考
- 環境因子・個人因子にも目配せして、効率よく目標を達成するための思考
- 定期的な計画更新時のカンファレンス時に、結果(あるいは継続することの意義)を医師・多職種へ説明できる能力
現在の訪問マッサージは「(徐々に制度変更がなされているものの、訪問リハビリと比べて)、保険制度を利用しつつ、じっくりとクライアントに寄り添い、末永くサービスを提供ができる」という意味で、素敵なサービスだと感じます。
ですが一方で、ここまで記載した「社会保障費の増大」を考えると、訪問リハビリと同様に「結果重視、期間限定志向でシビアなサービス」へ移行する可能性は十分あり得ます。
ちなみに現在、訪問マッサージ利用者の中には「4年以上継続してサービスを利用している人が多く存在する」というデータあり。
これを、あん摩マッサージ指圧師側が「心身機能維持のために重要だから継続している」と表現するのに対して、国が「それが活動・参加に反映されているのか?結果が出ていないのに(あるいは出た後も)漫然とサービスを続けているのでは?」と解釈された場合に、どのような方向に制度設計が進むのか危惧しています。
リハビリで活用されるICFの略図
あん摩マッサージ指圧学校でも「ICFの触り部分」は学び、イラストとしては以下の通り。
具体的には以下の様に活用します。
関連記事
以下は、「入学直前」「1年生」「2年生」「3年生」における日記・備忘録を記した記事をまとめてある。
入学前の日記
- 無事に退職願を提出! 同封した「感謝の手紙」も公開するよ♪
- 僕の方こそ、感謝です! 先輩セラピストからの手紙内容に感激。。
- 退職まで残り1日 | 多くの別れを経験しました
- 【病院を退職】沢山の「思い出」と「経験」をありがとう!
- 3月:東京生活スタート
1年生の日記
- 1年目4月:学校生活スタート
- 1年目5月:学校生活慣れてきた
- 1年6月:入学後初めてのテスト(前期中間テスト)
- 1年目6月【中間試験】:感想文を書いたよ(テーマは「訪問マッサージの未来について」)
- 1年目6月【資格取得】:理学療法士の試験合格! 先日、認定証が届きました。
- 1年目7月:もう期末試験が始まるよ
- 1年目7月【おススメ書籍】:夜間部の人に「ウエマツ総研」を紹介してみた
- 1年目7月【認定資格】:最新版の「認定理学療法士」の人数が公表された
- 1年目7月【国家試験】:「2020年以降の国家試験の出題構成」が変更になる件
- 1年目8月:夏休みに突入
- 1年目9月:夏休み後半は「新たな挑戦」+「資格取得」を!
- 1年8~9月【ついに始動】:リラクゼーションスキル向上プロジェクト
- 1年目10月:学校後期がスタートしたよ
- 1年目11月:充実した日々が送れてます
- (概要まとめ)筋膜マニピュレーション講習会!6日間を乗り越えて
- 1年目12月:今年最後の試験! そして冬休み!
- 【感想】浪越ファミリー指圧教室へ行ってみた
- 1年目1月:明けまして、おめでとうございます
- 1年目1月【ジョハリの窓】:サロン店長から手紙をもらった
- 1年目2月:無事に進級できました
- 1年目3月:春休み突入!整体学校卒業試験に合格
2年生の日記
- 2年目4月:東京が緊急事態宣言を発令!新学期開始が延期に・・
- 2年目5月:定額給付金10万円+持続化給付金30万円の臨時収入ゲット!
- 2年目6月:店長が辞めた
- 2年目7月:実技テストの結果
- 2年目8月:猿でもわかる「整形外科の授業」
- 2年目9月: 整体(サロン)について語ります
- 2年目10月:第二フェーズへ移行します!
- 【無責任】竹井仁PTの整体院(筋膜博士の筋膜整体院)へ行ったが不在だった件 | 筋膜マニピュレーション/理学療法士
- 2年目11月【新バイト】:整形外科クリニックへの勤務を開始しました
- 2年目11月:気づいたら「ゴートゥーイートの魔術師」になっていた
- 2年目11月:好評にて、訪リハ増回。18時過ぎまで働くことに
- 2年目12月:「コロナ禍における業界話」を先生がしてくれた
- 2年目1月:学校がリモート授業を開始した!実際に体験した感想は・・・
- 2年目2月:「フレイル対策推進マネージャー」のコンテンツを修了したよ
- 2年目3月:最後の実技授業! 先生に指導してもらえて良かった(一生の思い出)
3年生の日記